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<編集部からのコメント>
いよいよお盆も終わり、夏休みも終盤戦を向かえ、仕事もプライベートも「通常モード」に戻りつつある方は多いかもしれません。
例年であればここから来年春にかけて住宅需要も徐々に伸びてくるところですが、今年はちょっと様子が違うでしょうね。というのも、消費税増税を来年4月に控え、9月から、いよいよ最後の駆け込み需要が発生してくるからです。
上記ニュースにも記載されているように、新築住宅を購入する場合、引渡しが来年4月以降でも、今年9月末までの契約であれば現行の5%の消費税が導入されるからですね。
恐らく、この「9月末までの契約」と、「来年3月までの引渡し」の2つのタイミングが、駆け込み需要の最大のピークになってくると思います。
ちなみに下記コラムでもご紹介しましたが、上半期=2013年1月〜6月の新築マンションの発売戸数は首都圏で前年比+17.1%増、近畿圏で9.5%増ということになっています。
>>>首都圏マンション販売31.6%増も、秋以降は縮小へ?
税率が上がるからと言って、無理して買うことも、早めに買うことも、複数買うこともなかなか難しいマイホームですから、駆け込み需要の規模としてはこんなものかな?という気がしますが、この9月に一体、どこまで契約が増えるのか気になるところですね。
もちろん、一般的な住宅購入のケースでは、増税後となる来年4月以降、住宅ローン減税の拡充や新設された「すまい給付金」により、増税インパクトはかなり軽減されますので、正直、それほど慌てて購入する必要はないと思います。
試算方法によっては、むしろ「増税後に購入した方が良い」というケースも多くありましたしね。
>>>「住宅ローン減税+すまい給付金」vs「消費税増税」
どっちが得?
そんなわけで、今、焦るべきなのは、住宅ローンを借りずに住宅を購入しようとする富裕層のみ、といったところでしょうか。
とは言いつつこうした増税緩和策はややこしい上に、特に「すまい給付金」については出来たばかりでまだまだ浸透していないと思います。もちろん住宅販売の現場では、間違っても「焦らなくても大丈夫ですよ」などと言うはずもなく、その点ではこうした緩和策は、実力はともかくとして、タイミング的には「遅すぎた」面があるかもしれませんね。
そうした今の住宅購入検討者の「焦り度」を占う上で興味深いアンケート結果が発表されています。これは東新住建株式会社が、「愛知県在住で3年以内に注文住宅を建築した、または3年以内に注文住宅を建築したい人」215名を対象に、6月に実施されたアンケート調査で、増税前に住宅購入やリフォームなどをすべきか?という質問に対して、以下のような回答になったとのことです。
つまり増税前に住宅購入やリフォームをすべき、と答えた方が33%、一方、増税後でもいいから慎重に検討すべき、と答えた方が43%ということですね!なかなか興味深いです。
すでに新築した人も含まれている点は割り引く必要がありますが、全体的に見れば慎重派の方が多く、バランスが取れた内容と言えます。
しかしながら「駆け込み派」も3割を超えており、結構な割合です。もしこれがこの215名に留まらず全国的な傾向なのだとすれば、ここから来年3月にかけて、それなりの規模の駆け込み需要が発生していくことになりますね。
少なくとも+17%や+9%と言った水準を大きく超えてくる可能性がある、ということです。
また、今は「分からない」と回答されている方が2割を超えていますが、こうした方々がモデルルームや住宅展示場へ行けば、当然、セールスマンから猛プッシュを受けるわけで、結果として「駆け込み派」に鞍替えする可能性も十分あります。
そうなってくると、計算上では駆け込み派が過半数を超えてくる計算となりますね。
結論から言うと、思った以上に潜在的な駆け込み需要がありそうであり、増税前の急激な需要拡大や、増税後の急激な需要縮小を避けたいのであれば、政府はメディアを通じて、しっかり啓蒙活動をすべきなのでしょうね。
上記の通り、一般的に住宅ローンを借りてマイホームを購入するケースであれば、計算上では、むしろ8%に増税された後の方が、減税・給付メリットが大きいという場合が結構あるわけですから。
ちなみにそういう意味では上記アンケートの選択肢も少し不満で、本来は「負担が減るので、増税後に購入・建築、リフォームをしたほうがよいと思う」という選択肢もあるべきですね。
さて上記アンケートではもう1つの回答結果も発表されていて、つまり、
・消費税
・住宅ローン金利
・住宅ローン減税
の中で、どれが一番、住まいの購入に影響を及ぼすか、という質問への回答結果はこうなっています。
消費税が最も影響を及ぼすと答えた方が39%、一方、住宅ローン金利が最も影響を及ぼすと答えた方が45%ということですね。
もちろん正解はなく、単純に「支払額」で考えれば、「住宅ローン金利>住宅ローン減税>消費税」ということになりますが、今後の「変動額」で考えれば、金利が上昇すると考えている人は「住宅ローン金利>住宅ローン減税≒消費税」ということになるでしょうし、逆に金利は大して上昇しないと考えている人は「住宅ローン減税≒消費税>住宅ローン」という回答になるかと思います。
また、住宅ローンをあまり借りない人は、住宅ローン減税のメリットが弱くなるので、「住宅ローン金利>消費税>住宅ローン減税」という順番になりますね。
こうした回答に対し、アンケートを実施した、東新住建社の住宅市場研究室では、以下のようにコメントしています。
・多くの場合、住宅ローン金利が住宅の支払い合計に最も影響するのが通例だ。住宅購入の場合、消費税の支払いは購入時の一過性だが、住宅ローン金利の上昇は長期間影響するからだ。このあたりは住宅会社や政府も丁寧に説明すれば、増税後の売り上げの反動減防止にもつながるのではないだろうか。住宅会社が汗をかく余地はまだまだありそうだ。
つまり、消費税増税の影響より、住宅ローン金利の変動の方が、購入計画に対する影響が大きく、その点をユーザーに丁寧に説明すれば、増税の影響が緩和される、ということですが・・・本当でしょうか?
まぁ、わざわざ批判する必要もないのですが、ユーザーの意識が金利に向かえば向かうほど、住宅ローン金利上昇リスクを嫌い、より前倒しで進めようという機運が高まる気がしないではありません。もちろん将来の金利を正確に予測することは誰もできないのですが、今後、金利が上昇する可能性が高いか低いかと言われれば、やはり上昇する可能性が高い、と答える方の方が多いと思います。
もし、本気で「増税後の売り上げの反動減防止」を狙うのであれば、繰り返しになりますが、増税緩和策である「住宅ローン減税拡充+すまい給付金」の枠組みとその経済効果を丁寧にすることでしょうね。そうすると、意外に増税されてもあまりトータルコストに影響しないことがよく分かると思います。
ただ生き馬の目を抜く住宅業界で、果たしてそうした何の得にもならない説明を住宅会社がわざわざユーザーに率先してするとは思えません。
やはりこうした啓蒙活動は、政府が行うべきなのでしょうね。
この期に及んでまだ、増税すべきどうかの議論を開始している状況では、なかなか本腰を入れて啓蒙活動しにくい、という事情があるのかもしれませんが・・・。そういう意味では、政府の取り組みは全てがワンテンポ遅いですね。残念なことです。
これから住宅購入を検討されている方は参考になさってください。